老後の資金のために加入する人も多いiDeCo(イデコ)。
老後の資金作りはもちろん、節税等のメリットもあることから利用している方も多いのではないでしょうか。
一方で気になってくるのが、iDeCoに加入した際のふるさと納税との併用。
併用することにより、ふるさと納税の上限額が下がってしまうため、iDeCoへの加入を踏み止まってしまう方もいるのが現状です。
そこで、ふるさと納税との併用にデメリットがある場合、iDeCoには加入しない方が良いのか、また、加入した方が良いのか、今回はその疑問について解決していきましょう。
上限額にはどのくらいの差が出るのか、実際にシミュレーションをした上でご紹介していきます。
現在、iDeCoへの加入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
まず理解しておこう。iDeCoとふるさと納税それぞれの仕組み
iDeCoとふるさと納税の関係について見ていく前に、まずはiDeCoやふるさと納税の仕組みについて軽くご紹介していきますね。
iDeCo(個人型拠出年金)とは国民年金や厚生年金といった基礎年金に上乗せされる私的年金で、任意で加入することが出来ます。
そのため、老後の不安を少しでも軽減したいなどの目的で加入する人が増えています。
また、この他にも掛金が全額所得控除、運用益が非課税などといった節税の効果があるため、メリットの多い制度となっています。
そして、ふるさと納税とは1人1人の所得に応じた範囲内で自治体へ寄付が出来るという制度のことです。
自治体では寄付額に応じてその自治体ならではの返礼品を用意しているため、その返礼品目的でふるさと納税をする人も多くいますね。
なお、総務省のふるさと納税の仕組みによるとふるさと納税をした際の控除額の算出方法は以下のようになっています。
- 所得税からの控除=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率
- 住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税額-2,000円)×10%
- 住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)
上記の計算式を使うと例えばですが、年収400万円の会社員Aさん(独身)が42,000円のふるさと納税をするとこのようになります。
- 所得税からの控除=(42,000円-2,000円)×20%=8,000円
- 住民税からの控除(基本分)=(42,000円-2,000円)×10%=4,000円
- 住民税からの控除(特例分)=(42,000円-2,000円)×(100%-10%-20%)=28,000円
そして、上記で出た8,000円、4,000円、28,000円を合計すると40,000円となります。
このように、ふるさと納税は実質負担額2,000円で様々な自治体に寄付をすることが出来るという仕組みです。
iDeCoとふるさと納税はどちらも所得税や住民税を軽減する効果があり、それを目的に活用している人も多い制度と言えますね。
iDeCoとふるさと納税を併用すると節税面で損をすることになる!
上記でご紹介したiDeCoとふるさと納税。
節税効果があり、活用している人も多いこれらの制度ですが、ここで問題となってくるのがiDeCoに加入しているとふるさと納税の限度額が小さくなってしまうということです。
どうしてこのようになってしまうのかというと、iDeCoの掛金を所得控除するとその分、所得税や住民税が小さくなるのですが、その結果としてふるさと納税の還付・控除限度額も減ることになってしまうのです。
iDeCoに加入した場合、ふるさと納税上限額はいくら減る?
上記でご紹介したように、iDeCoとふるさと納税を併用するとそれに伴い、上限額も下がってしまいます。
ですが、上限額が下がると言ってもどのくらい下がってしまうのか、想像しにくいですよね。
そこで、iDeCoに加入していない場合と加入した場合の掛金別にふるさと納税上限額にどのくらいの差があるのか、実際にシミュレーションをしてみましょう。
以下は代表的な家族構成を元にふるさと納税の上限額について示しています。
ただ、これはあくまでも目安ですので、必ずしもこのような数字になるとは限りません。
独身、夫婦共働き(扶養範囲外)の場合
年収/iDeCoの掛金 | iDeCoに加入していない場合 | 月12,000円 | 月23,000円 | 月68,000円 |
---|---|---|---|---|
300万円 | 28,000円 | 24,000円 | 21,000円 | 9,000円 |
400万円 | 42,000円 | 38,000円 | 35,000円 | 22,000円 |
500万円 | 61,000円 | 57,000円 | 54,000円 | 38,000円 |
600万円 | 77,000円 | 73,000円 | 70,000円 | 56,000円 |
700万円 | 108,000円 | 104,000円 | 100,000円 | 74,000円 |
※医療費控除、住宅ローン控除、その他の控除は考慮していません。また、社会保険料控除額は給与収入の15%と仮定しています。
片働き夫婦・子供(15歳以下)一人の場合
年収/iDeCoの掛金 | iDeCoに加入していない場合 | 月12,000円 | 月23,000円 | 月68,000円 |
---|---|---|---|---|
300万円 | 19,000円 | 16,000円 | 13,000円 | 2,000円 |
400万円 | 33,000円 | 30,000円 | 27,000円 | 14,000円 |
500万円 | 49,000円 | 45,000円 | 42,000円 | 29,000円 |
600万円 | 69,000円 | 65,000円 | 62,000円 | 45,000円 |
700万円 | 86,000円 | 82,000円 | 79,000円 | 65,000円 |
※医療費控除、住宅ローン控除、その他の控除は考慮していません。また、社会保険料控除額は給与収入の15%と仮定しています。
iDeCoとふるさと納税、結局どちらを重視するべき?
上記のシミュレーション結果を見ると、やはりiDeCoとふるさと納税を併用するとふるさと納税の上限額は下がっていることがわかります。
そのため、「iDeCoには加入しない方が良いのでは…」と考えてしまう人もいるかもしれません。
ですが、上限額に差があると言っても数千円ですし、そのためにiDeCoに加入することで得られる節税等のメリットを失ってしまうのは大変もったいないことです。
そのため、たとえふるさと納税の上限額が下がってしまったとしても、そこまで気にする必要はないでしょう。
それよりも断然メリットの大きいiDeCoへの加入の方をおすすめします。
ふるさと納税の上限額が下がってもiDeCoに加入した方がメリット大
いかがでしたでしょうか。iDeCoに加入しているとどうしてもふるさと納税の上限額は下がってしまいます。
ですが、シミュレーションをして、上限額を見てみると、併用したからと言ってそこまで大きく上限額が下がってしまうということはありません。
また、上記でもご紹介したように、iDeCoは老後のための資金作りはもちろん、税金の控除にもなるなどメリットはたくさんあります。
それをふるさと納税の還付金が減ってしまうからという理由で見送ってしまうのは大変もったいないことです。
ふるさと納税と併用すると上限額が下がってしまうと言ってもやはりメリットの多いiDeCo。ぜひ活用して将来に役立てましょう。