エアコンといえば、昔から電気代が高いとよく言われます。そのため暑さや寒さが厳しくても、できればエアコンを使いたくないという人もいるのではないでしょうか。
技術の進歩により、最新のエアコンは消費電力がどんどん低くなっていますが、それでもできる限り電気代は節約したいものです。
今回は、エアコンの電気代を節約する方法を紹介します。電気代を考える上ではエアコンの仕組みについて知っておくとより有利なので、そちらもしっかり説明します。
さらには、最近よく話題になる「エアコンをつけっぱなしにして節約する方法」にも少し触れました。さまざまな方向から、エアコンの節約を考えてみましょう。
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エアコンの電気代が高い理由は、他の家電とは違う仕組みにあった
電化製品は多かれ少なかれ電気代がかかりますが、おそらくエアコンほど電気代についてあれこれ言われるものは他にないでしょう。
実はエアコンの電気代は、使用状況によって大きく変動しやすいのです。そうなる理由は、エアコン独特の仕組みにありました。
エアコンの消費電力が一番大きいのは「起動時」
エアコンは起動時、室温を設定温度に近づけるときに電力を最も消費します。
例えば気温が5度のときに暖房の設定温度を20度にした場合、15度もの温度差を埋めなければなりません。
実際にエアコンを使用すると、最初は運転音が大きく聞こえると思います。エアコンがフルパワーで稼働し、電力もたくさん消費している証拠です。
なお、エアコンは室温と設定温度が同じになると送風運転に切り替わります。送風運転になったあとの消費電力は、起動時と比べるとほんのわずかと言われています。
真夏・真冬は電気代の約半分がエアコンで消費される!
真夏や真冬は電気代が跳ね上がります。その理由はもちろん冷暖房をたくさん使うからです。
なんと、エアコンの電気代が家庭全体の電気代に占める割合は40〜60%にもなります。ここで、主な電化製品の消費電力を比べてみましょう。
- 扇風機…30W
- 液晶テレビ…200W
- 冷蔵庫…200W
- 掃除機…1000W
この中では掃除機もエアコンに負けない消費電力量ですが、掃除機は限られたときにしか使用しないので、家計を圧迫するほどの電気代にはなりません。
冷蔵庫はつねに電源を入れっぱなし、テレビや扇風機も使用時間が長めだと思いますが、それぞれの消費電力を見る限りエアコンより電気代が高くなりそうなものはありません。
エアコンは消費電力量が高い上に、長いときは1日中や夜間にも使わなければなりません。
エアコンの使用状況によって電気代が大きく変わるのも、無理はないということになります。
気になる真実「エアコンをつけっぱなしにすると節約になる」って本当?
エアコンの節約というと、たびたび話題になるのが「エアコンはつけっぱなしのほうが電気代が安い」ということです。
気になっている人が多いでしょうし、中には「試したけど節約にならなかった」という人もいるかもしれません。有名な節約術が実際にはどうなのか、お答えします。
家にいる時間が長いときには有効
結論から言うと、エアコンのつけっぱなしが節約につながるのは「家にいる時間が長いとき」です。
エアコンの使用時間が長くなると電気代が心配になるかもしれませんが、エアコンの消費電力が最も高くなるのは起動時なので、起動する回数を極力減らせばいいのです。
30分程度の外出なら電源を切らない
基本的に家にいる日でも、ちょっと買い物に行くなど短時間だけ家を空けることはよくあります。
もし、30分〜1時間程度で帰れるなら、エアコンはつけっぱなしでかまいません。
短時間の間にまたエアコン起動時の電気代が発生することを考えると、安定した温度でつけっぱなしにしていたほうが電気代は安く済みます。
特に、真夏や真冬は少しエアコンを切っただけでも室温が大きく変化し、設定温度に戻るまでに多くの電力が必要になります。
つけっぱなしで電気代が高くなることもあるので注意!
エアコンのつけっぱなしを実践した人の中には、逆に電気代が高くなってしまった人もいます。
これは、家にいる時間が短いのにエアコンをつけっぱなしにしてしまった場合です。
仕事などで朝に家を出て夕方に帰るような生活リズムでエアコンをつけっぱなしにすると、8〜10時間くらいは無人の状態で稼働を続けていることになります。
エアコンは室内温度が安定すると消費電力がかなり少なくなりますが、だからといってゼロにまではなりません。
それに、今まで外出時はエアコンを切っていた人がつけっぱなしにすると、電気代が増えるのは当たり前のことです。
エアコンのつけっぱなしに関しては、「1ヶ月つけっぱなしにした」というエピソードが多いので、長いスパンで実践しないといけないように感じますが、決してそうではありません。
どんな家庭も、家にずっといる日と長時間出かけている日があるでしょう。たった1日でも、予定に応じて取り入れるというのが一番賢い方法のようです。
しっかり使っても安く済む!エアコンの電気代を節約するコツ
エアコンのつけっぱなし以外にも、電気代を節約する方法はたくさんあります。
ここでは数ある節約法の中でも特に効果があり、それでいて快適さも失わないものを厳選して紹介します。
※なお、「フィルターの掃除」というのもエアコンの効率を安定させるので節約になりますが、これは基本的なメンテナンスとして行っているのが当たり前という前提で説明していきます。
設定温度を1度変えて電気代を10%節約!
よく、エアコンの適正温度は「夏が28度、冬が20度」という言葉を聞きます。
これは環境省がエコのために定めたものですが、電気代の節約にも非常に効果があります。
エアコンの設定温度がこの数字と大きくかけ離れている人は、部屋が冷やしすぎ・暖めすぎになっているはずです。
電気代の節約を考えるなら夏は28度、冬は20度に少しでも近づけてみましょう。
また、エアコンの設定温度が1度変わると、電気代が10%も節約できると言われています。
例えば突然「5度上げるか下げるかしろ」と言われると大変ですが、1度なら簡単だと思いませんか。
サーキュレーターで空気を撹拌する
特に暖房の場合、暖かい空気が天井のほうに溜まりやすく、足元がいつまでも寒いということがよくあります。
その状態では設定温度を高めにしてもなかなか暖まらないということが起こりやすいので、サーキュレーターを併用しましょう。
空気が撹拌されると室内の温度が均一になり、低めの設定温度でも快適に過ごすことができます。
なお、サーキュレーターの電気代は1時間で1円前後なので、電気代がかさむ心配はありません。
冷房の場合は、隣の部屋に向けてサーキュレーターを稼働させると2部屋同時に冷やすことができます。
夏は日差しから室外機を守る
エアコンの室外機は、ベランダなどで直射日光を受けています。
室外機からは温風が出るため、実は室外機本体が高温になりすぎるとエアコンの運転効率が下がるのです。
まず、本体の上部にはアルミシートを乗せて直射日光が当たらないようにしましょう。
室外機の上に植木鉢などを置いている人もいますが、余計な振動で異常が発生する可能性もあるのでやめたほうが安全です。
そして送風口から出る温風がこもらないように、室外機の前後左右は10〜20cmあけるようにします。
もし現在、近くに物を置いている場合はなるべくよけましょう。
エアコンの電気代を節約しながら快適な室温を手に入れよう
エアコンは、起動時と室温が安定した後では消費電力に大きな差があり、それを理解せずに使ってしまうと電気代が高額になってしまう可能性があります。
しかし逆に言えば、消費電力が大きい状態で稼働させる時間を極力少なくすることができれば、電気代も最小限を目指せるということです。
よく、節約のためにエアコンの使用を我慢する人がいますが、それは体調に異変をきたす恐れもあるので望ましくありません。
今までエアコンを躊躇しながら使っていた人は、ぜひこの記事にある節約法を実践してみてください。
日々の生活において、ちょうどいい室温の中で快適に過ごすことはお金と同じくらい大切です。節約と快適なエアコンの使用、どちらも諦めずに行いましょう。